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「母国に帰りたい」と思うような医療現場

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN
<ワクチン接種が世界各地で進んでいる。でも「1日に2回接種してしまった」などのミスも起こる。なにせ病院はジョークの宝庫だ>
【重病】
患者が医者に言った。
「体のどこを押しても激しい痛みが走るんです。重病ではないでしょうか?」
診療を終えた医者が、ため息とともに言った。
「分かりましたよ」
患者が心配そうに聞いた。
「何という病気でしょうか?」
医者が答えた。
「指の骨折です」
新型コロナウイルスのワクチン接種が、世界各地で進んでいる。
スタートで後れを取った日本も、ここにきて順調にペースを加速。関係者の方々の知恵と努力には、改めて頭が下がる。日本の「現場力」は捨てたものじゃない。
ただし、中にはワクチンを誤って破棄してしまったり、薄めずに原液のまま接種してしまったといった事例も発生している。「1日に2回、接種してしまった」というミスも起きている。
世界のジョークの中には、病院を舞台としたものが意外と多い。その大半が医療現場での「うっかり」や「勘違い」を笑いの対象とするものである。
誰もがお世話になったことのある病院という身近な空間は、「ジョークの舞台」としてなじみやすい。
以前、ルーマニアに住んでいた頃、何度か病院のお世話になった。
ある時、高熱が出た際に点滴をすることになったが、看護婦の手際が驚くほど悪く、仲間と談笑しながらウロウロウロウロしている。ようやく点滴が始まると看護婦は、
「1時間で終わるから」
と言ってその場を去ったが、滴の落ち方が異様に遅い。途中からほとんど落ちなくなり、仕方なく看護婦を呼ぶと、
「器具の調子が悪いようね。点滴はやめましょう」
と中止になった。
「日本に帰りたい」と思った瞬間である。
チャウシェスク独裁政権時代に建てられた大型病院は設備の老朽化が激しく、衛生面でも不安を感じるような雰囲気だった。
「病院なんか行ったら余計に悪くなる。殺されちまうよ」と笑うルーマニア人も珍しくなかった。
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