コラム

李在明候補の格差是正策は、ベーシックインカムにとどまらない

2021年11月09日(火)19時21分
李在明

韓国与党「共に民主党」の大統領候補に選ばれた李在明 Heo Ran-REUTERS

<すべての人に同じお金を渡すだけでは格差是正につながらないなどの批判を受けて、安い賃貸住宅や低利融資、有利な貯蓄などを公約に掲げている>

2022年3月に行われる韓国の第20代大統領選挙の候補者が次々と決まっている。韓国の進歩系最大与党「共に民主党」は10月10日、大統領選の公認候補に李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事(56歳)を選出した。李在明氏の累計得票率は約50.3%で、次点だった李洛淵(イ・ナギョン)元国務総理を11ポイント以上引き離した。

一方、11月4日には野党「国民の党」の安哲秀(59歳、アン・チョルス)党代表が来年の大統領候補に選出された(単独出馬、賛成92.18%、反対7.82%)。そして11月5日には保守系最大野党「国民の力」の公認候補に尹錫悦(ユン・ソクヨル)元検察総長(60歳)が選ばれた。尹錫悦氏の累計得票率は約47.9%で、2017年の前回大統領選にも出馬した国会議員の洪準杓(67歳、ホン・ジュンピョ)氏(66)の41.5%を上回った。

今後大きな異変がない限り、この3人のうち一人、より正確に言うと「共に民主党」の李在明氏と「国民の力」の尹錫悦氏のうち一人が韓国の第20代大統領になる可能性が高い。韓国社会世論研究所が11月8日に発表した世論調査の結果によると、尹錫悦氏と李在明氏の支持率はそれぞれ43.0%と31.2%で、他の候補の支持率を大きく上回った(安哲秀氏:4.7%、正義党の沈相奵氏(62歳、シム・サンジョン、正義党の元党代表): 3.7%、金東ヨン氏(64歳、キム・ドンヨン、前経済副首相):1.4%。

また、世論調査会社リアルメーターが9日に発表した調査結果でも尹錫悦氏が46.2%と李在明氏が34.2%と2強の構図になっている(安哲秀氏は4.3%、沈相奵氏は3.7%)。

そこで、本コラムでは、李在明氏と尹錫悦氏を中心に各候補の主な選挙公約と選挙前後の韓国情勢を連続して紹介していく。今回はまず最も注目度が高い李在明氏の再分配政策の一部を紹介したい。

「共に民主党」の李在明氏の代表的な分配政策は言うまでもなく基本所得(ベーシックインカム、以下、基本所得)だ。彼は、2020年6月20日に出演したテレビ番組(MBC、100分討論)で、2020年5月に新型コロナウイルス感染症に関連して支給された緊急災難支援金により、消費が増え伝統市場を含めた地域経済が活性化したことを成功例として挙げながら、基本所得の導入の必要性を強調した

プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所客員研究員、日本女子大学人間社会学部・大学院人間社会研究科非常勤講師を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

今、あなたにオススメ

ニュース速報

ワールド

米最高裁リベラル派判事退任へ、バイデン氏は後任に黒

ビジネス

日経平均が一時900円安、FRBのタカ派傾斜を警戒

ビジネス

自工会会長、ソニーがEV本格参入なら「加入待ってい

ワールド

北朝鮮が飛翔体2発発射、今年6回目 弾道ミサイルと

今、あなたにオススメ

MAGAZINE

特集:あぶない超加工食品

2022年2月 1日号(1/25発売)

脳の快感回路にダイレクトに響く「不自然な食品」は食品業界の福音だが、消費者には病気の源?

人気ランキング

  • 1

    米中の間で「いいとこ取り」してきた韓国が、半導体供給でついに決断を求められる

  • 2

    なぜネコは1日じゅう寝ているのでしょう?

  • 3

    男の子は幼児期から「ガラスのハート」 子育ては性別で分けるべきか?

  • 4

    ニッポンのリタイヤしたオジサンたちが次々と感染す…

  • 5

    閲覧注意:インパラを丸呑みするニシキヘビの衝撃映像

  • 6

    日本経済は「貯蓄があるから大丈夫」...勘違いする人…

  • 7

    角を切られ、30回手術を受けたサイが野生に戻される

  • 8

    1円で売却された米空母キティホーク、解体に向け最…

  • 9

    コロナ感染で男性器の「サイズが縮小」との報告が相…

  • 10

    飼い主に高速連続パンチを見舞う子猫 ネット民から…

  • 1

    1000年に1度のトンガ大噴火、これでは終わらない可能性

  • 2

    部屋を「片付けなさい」はNG 子供の自己肯定感を伸ばす、正しい「声かけ」の方法

  • 3

    『ドライブ・マイ・カー 』がアメリカの映画賞を総なめしているワケ

  • 4

    「渡航禁止の解除を」WHO勧告を無視する日本とオミク…

  • 5

    なぜネコは1日じゅう寝ているのでしょう?

  • 6

    キャサリン妃の服装は、メーガン妃の「丸パクリ」!? …

  • 7

    「2人にしか分からない言葉」で夜な夜な戯れ合う双子…

  • 8

    閲覧注意:インパラを丸呑みするニシキヘビの衝撃映像

  • 9

    米中の間で「いいとこ取り」してきた韓国が、半導体…

  • 10

    知ってた? 太陽系は「巨大な泡」の真ん中に浮かん…

  • 1

    飛行中のステルス爆撃機が「グーグルマップ」に映り込んでいた

  • 2

    外国人同士が「目配せ」する、日本人には言いづらい「本音」

  • 3

    コロナ感染で男性器の「サイズが縮小」との報告が相次ぐ、「一生このまま」と医師

  • 4

    空手がアラブで200万人に広まったのは、呑んだくれ日…

  • 5

    ブタの心臓を受けた男に傷害の前科──「もっとふさわ…

  • 6

    1000年に1度のトンガ大噴火、これでは終わらない可…

  • 7

    部屋を「片付けなさい」はNG 子供の自己肯定感を伸…

  • 8

    日本のコロナ療養が羨ましい!無料で大量の食料支援…

  • 9

    早老症のユーチューバーが15歳で死去

  • 10

    『ドライブ・マイ・カー 』がアメリカの映画賞を総な…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メンバーシップ登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中