コラム

クリーンエネルギーへのシフトは日本を救う!

2021年10月07日(木)18時20分

化石燃料の輸入額は、価格の動向によって変わるが、多い年は20兆円を超え、全輸入額の2~3割をも占める!「輸入品」のイメージといったらオーストラリアの牛肉とか、ドイツの高級車、あとは韓国のBTSかな。でも、それらより中近東諸国の化石燃料のほうが貿易収支や経済全体への影響力が大きい。BTS様といい勝負だろうけど。

貿易収支の黒字・赤字論を別にしても、クリーンエネルギーへの移行は莫大な刺激になるはず。もちろん、その計画や実行には多額の初期投資がかかる。だが、捨て金にはならない。公共事業と一緒で財政出動として経済促進剤になる。その上、100%自力で電力供給ができたとしたら、海外に流れていた年間20兆円が国内に留まることで長期的な利益が生まれる。ローリスク・ハイリターンのシナリオだ。

しかも特需で経済効果は終わらない。むしろ、日本の企業、社員、地主などに「エネルギー代」が支払われることの貢献は大きいはず。GDPの割合でいうと、日本の経済は8割以上内需に支えられている。つまり、日本人にお金を渡せば、8割日本国内で使うのだ。

一方、日本の主な燃料輸入相手国である、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)は日本の自動車や重機などを買ってくれるが、その総額は、日本がそれらの国に支払っている燃料代の2~3割ほど。国内に20兆円を落としたら、需要が高まり、雇用も生まれ、経済が成長する。2013年から日銀が目標に定めているのに、最近諦められつつありそうな、2%の物価上昇も夢ではないだろう。そう。僕は黒田総裁の夢を叶えたくてこのコラムを書いているのだ!

当然、地方創生にもつながるはずだ。2021年度の地方創生に関する国と地方政府の予算を合わせると2.2兆円。20兆円の一部だけでも同等のインパクトが期待できそうだ。それもどこかの商店街で使える「プレミアム商品券」配布のような一時的なものではなく毎年毎年、半永久的に恩恵があるはず。新しい発電所ができる地域で雇用が創出され、地価が上昇する可能性も十分ある。過疎化にブレーキがかかり、元気を取り戻す町もありそう。下手したら黒田さんだけではなく、地方の方々の夢も叶ってしまうかもしれない!

クリーン革命の「師匠」になろう

最後はクリーンエネルギーでクールジャパンを実現する話をさせてください。もちろん、温暖化対策は気温上昇を抑制して、まさに文字通りクールな(涼しい)日本を成し遂げる!という意味でも言っているが、そんなダジャレ自体があまりクールじゃなかろう。

それより、自国民や世界の皆さんが持つ、日本のイメージが改善される意味合いが大きい。昔は高度成長期やバブル時代で「勢いのある国」、その間に生まれた車や電化製品で「イノベーションの国」、今や漫画やアニメ、ゲームなどで「クリエイティブな国」といった、いいイメージをずっと国内外で持たれてきた日本だが、同時に、「失われた20年の国」、「中国に追い抜かれた国」、「人口減少で勢いを失った国」といった悪いイメージもある。

それを払しょくするためにも、クリーンエネルギーシフトという国家規模の大プロジェクトが一役買えると思う。ほかの大国よりも前に、日本が火力発電から風力、水力、波力、地熱、太陽光などのクリーンな発電方法に電源シフトをすれば、どんなに格好いいか!そのプロセスで開発される技術や製品、またはそこで生まれたノウハウを持って世界のクリーン革命を手助けする「師匠」になれたら、どんなに素晴らしいか! 国際会議などで、大きな声で示した具体的なプランを実際に実現してみせたら、国際社会における存在感がどんなに増すか! みんながやりたいことを先にやったら、日本がどんなにクールか?! かなりクールなのだ!

考えるだけでワクワクする。できないはずはない。日本は風にも、水にも、波にも、地熱にも、太陽光にも、技術力にも、財政力にも、組織力にも恵まれている。ここで必要なのは政治的な意思とリーダシップだけ。せっかく新政権が生まれたのだから立ち上がってほしい。

その期待を胸に今月の大イベントを鶴首して待っている。もちろん、COP26の話だが、上述の提案に近いようなことを宣言できたら、素敵な誕生日プレゼントにもなるね。

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『大統領の演説』(角川新書)。

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