最新記事

映画

韓国シネコン、生き残りかけた挑戦 ゲーマー向け貸切サービスからポップコーンのデリバリーまで

2021年3月8日(月)19時35分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)
映画館でゲームをする男性

映画館のスクリーンの前にはゲームのコントローラーをもった男性がひとり。韓国ではさまざまな形で映画館が生き残りを模索している。MBCNEWS / YouTube

<昨年、前年比2倍近い81館がクローズした韓国映画界。スクリーンの灯りを消さないための苦闘が続く>

新型コロナウイルスの世界的パンデミックが起こり、様々な業界が打撃を受けた。エンタメ業界では新作映画の公開延期が毎月のように報道されるなか、映画館の経営も厳しい状態に追い込まれている。

昨年は2月のアカデミー賞でポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が4冠を達成し、その存在を世界に見せつけた韓国映画界だったが、その後、コロナの影響で国内の映画館の経営状態は危機的状態だ。

韓国映画振興委員会が発表した「2021年1月の韓国映画産業決算資料」によると、今年1月の観客数は全国で179万人、売り上げは158億ウォンに留まった。これは、2004年に入場券の集計を始めて以来最低の観客動員だったという。

しかし、これまでコロナ対策でも様々なアイデアを駆使し、世界中をアッと言わせた韓国である。映画館もこの状況でただ指をくわえているだけではなかった。何とか営業を続けようとユニークなビジネスを実践している。

昔から「映画館の儲けは、チケット代ではなく館内の飲食代から出る」と言われてきた。1月中旬に開始が発表された「映画館メニュー出前サービス」の報道を見たとき、なるほどなぁと感心したものである。

韓国は元々出前大国だが、コロナ禍でさらにデリバリーサービスを利用する人が増加した。そして映画館へ行きたくても行きづらい状況が続き、ネットフリックス等配信系動画サービスの普及により家で映画を楽しむ人が増えた。家で映画鑑賞をする際、映画館の雰囲気を少しでも堪能したい人たちがこのサービスを利用しているようだ。

映画館で販売しているポップコーンや炭酸飲料はもちろん、イカのバター焼き、ホットドッグなど全てのメニューが注文でき、現在韓国3大シネコンのうちCGVとロッテシネマが実践している。両社ともに「今後デリバリーに特化したメニュー開発を行っていく」と発表していることから、どうやら好評なようである。

2人で貸し切り2880円!

韓国の映画館の生き残りをかけたアイデアはそれだけではない。新作上映作品がなく、観客が映画館に入らない状態で、空いた劇場の活用法も韓国的でユニークである。

まず、興行に陰りが見えだした去年の4月に始まったのが「映画館貸し切りプライベート上映」だ。CGV系列の中でも特に客足が芳しくなかった3館の14時、16時半、19時の回を2時間(映画1本)2人で3万ウォン(10名まで1人につき+1万ウォンで追加可能)という破格の料金設定で貸し出して話題となった。もちろんチケットはすぐに完売したという。その後、他の映画館でも同様の貸し出しサービスが行われている。

アメリカでも昨年10月頃から、一部の映画館で「プライベート上映」サービスを見かけるようになったが、こちらは人数制限がないものの平均して2時間100ドルと、なかなかの値段設定である。こう見ると韓国はかなり早い段階から思い切ったコロナ対応の営業に切り替えたように思う。

今、あなたにオススメ

ニュース速報

ワールド

米、北京冬季五輪を外交ボイコット=ホワイトハウス

ワールド

印ロ、防衛協力強化で合意 通商も拡大へ

ビジネス

ユーロ圏、経済支援継続を 高インフレは一過性=IM

ビジネス

ユーロ圏インフレ率、22年に2%下回る可能性低い=

MAGAZINE

特集:真珠湾攻撃・日米開戦80年 戦争の記憶

2021年12月14日号(12/ 7発売)

キャスターとして戦争を伝えてきた櫻井翔が、海軍士官として戦没した大伯父の最期を追う

人気ランキング

  • 1

    「脳まで筋肉の柔道選手」と中傷された彼女が医学部合格を果たした、たった一つの理由

  • 2

    A・ボールドウィン誤射事件、インタビューで深まった疑惑

  • 3

    一番人懐こいネコの品種は?甘え過ぎへの対処法は?

  • 4

    親の「赤ちゃん言葉」は幼児期の言語習得に影響する

  • 5

    子供が欲しかった僕は、女友達と恋愛抜きで子供の「…

  • 6

    「時計の針を10年進めた」...本田圭佑がカンボジアで…

  • 7

    中2で起業、高1で母校を買収した女性起業家が考える理…

  • 8

    半身を失った「ゾンビザメ」、10匹に共食いされてな…

  • 9

    幸せな生活を突き詰めた結果、行きついた「核シェル…

  • 10

    ビートルズ最高の作詞家がジョンではなく、ポールで…

  • 1

    「脳まで筋肉の柔道選手」と中傷された彼女が医学部合格を果たした、たった一つの理由

  • 2

    大暴落の足音

  • 3

    親の「赤ちゃん言葉」は幼児期の言語習得に影響する

  • 4

    一番人懐こいネコの品種は?甘え過ぎへの対処法は?

  • 5

    子供が欲しかった僕は、女友達と恋愛抜きで子供の「…

  • 6

    半身を失った「ゾンビザメ」、10匹に共食いされてな…

  • 7

    A・ボールドウィン誤射事件、インタビューで深まった…

  • 8

    「米化」でブレイク オートミールにハマった人たちに…

  • 9

    「時計の針を10年進めた」...本田圭佑がカンボジアで…

  • 10

    ビートルズ最高の作詞家がジョンではなく、ポールで…

  • 1

    【動画】リビングの壁を這う「猫サイズ」のクモ

  • 2

    一番人懐こいネコの品種は?甘え過ぎへの対処法は?

  • 3

    「脳まで筋肉の柔道選手」と中傷された彼女が医学部合格を果たした、たった一つの理由

  • 4

    子供が欲しかった僕は、女友達と恋愛抜きで子供の「…

  • 5

    最初から「失敗」が決まっていたクロエ・ジャオ監督…

  • 6

    大暴落の足音

  • 7

    半身を失った「ゾンビザメ」、10匹に共食いされてな…

  • 8

    「米化」でブレイク オートミールにハマった人たちに…

  • 9

    「可愛すぎて死にそう」ウサギを真似してぴょんぴょ…

  • 10

    親の「赤ちゃん言葉」は幼児期の言語習得に影響する

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メンバーシップ登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

STORIES ARCHIVE

  • 2021年12月
  • 2021年11月
  • 2021年10月
  • 2021年9月
  • 2021年8月
  • 2021年7月