コラム

EUの政治は9月のドイツ総選挙次第、対中・対ロで英米と一線を画す

2021年07月09日(金)16時35分

ロシア産天然ガスをドイツに輸送するパイプライン「ノルドストリーム2」計画も擁護してきた。

ドイツにとって大切なのは人権よりも自国産業の保護である。しかし緑の党が総選挙に勝って首相を出せば、人権外交に大きく舵を切るかもしれない。

いずれにせよ、海洋国家の英国や米国と違って、大陸国家のドイツには中ロに通じるロジックがあり、EUもその影響を免れない。

そうした態度はドイツだけではない。

G7を中国に対抗する民主主義の対抗軸として、韓国、オーストラリア、インドを加えた「D10」へと格上げしたい米英に対し、エマニュエル・マクロン仏大統領は「強制労働や人権などの問題で中国との違いがあるかもしれないが、G7は中国との敵対クラブではない」と明確な一線を引いた。

中国の広域経済圏構想「一帯一路」に組み込まれるイタリアや旧東欧諸国も中国の経済力に大きく依存している。

米中対立の中で、EUは第三極として存在感を維持する戦略を取っており、新型コロナウイルスなどの感染症、地球温暖化対策で中国と連携する構えを強める。人工知能(AI)開発競争でも米中両にらみのポジションを取るだろう。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com

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