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セクハラ

性犯罪の被害者は「怒り狂った復讐者じゃない」、実名告白する女性の本心

I Am Not Vengeful

2021年09月24日(金)17時48分
ルイーズ・ゴッドボールド(サバイバー支援団体「エコー」事務局長)

ILLUSTRATION BY AJIJCHAN/ISTOCK

<性暴力の被害者が、加害者に抱く感情は複雑だ。短絡的な決め付けは被害者をさらに苦しめることになる>

性犯罪で有罪になりニューヨークで収監されているハリウッドの元大物プロデューサー、ハービー・ワインスティーンが先月、ロサンゼルスの法廷に無罪を申し立て、再びメディアの注目を浴びた。私も彼のセクハラ被害に遭ったが、私の事件は時効を過ぎているため訴追はされなかった。

それでも自分の体験を公の場で語ってきたし、トラウマを抱えた人たちの支援に長く取り組んできたこともあって、ワインスティーンの動静がニュースになるたびにコメントを求められてきた。

取材に応じるのはやぶさかではないが、最近インタビューを受けた後ふと思った。今回に限らず、聞き手は私の気持ちにそぐわないコメントを引き出そうとする。被害者であるあなたはさぞかし怒っているだろう。加害者がどうなれば気が済むか、と。

そのため番組で放映される3分ほどの映像では、私は人々が期待するセリフを語ることになる。彼は一生獄中で苦しむがいい、と。

この復讐心に燃えた女は誰なのか。それは私ではない。インタビュアーと視聴者が求める「被害者の私」だ。

メディアは性暴力のサバイバー(被害を体験した人)を「告発者」と呼びたがる。この言葉自体、ギリシャ神話のメドゥーサのような、怒り狂った女を連想させる。

世界中の女性たちが#MeToo(私も)と声を上げ、この問題に対する理解は広がった。だが性暴力のサバイバーが加害者に抱く複雑な感情は十分に理解されていない。

報復ファンタジーの弊害

サバイバーが加害者に抱く感情には大きな振れ幅があり、許しと復讐心の中間のどんな色合いも帯び得る。性暴力そのものが複雑なため、サバイバーの感情も一筋縄ではいかないのだ。加害者が知り合いだったり愛していた人であったりすれば、相手と過ごした時間は嫌な思い出ばかりではないかもしれない。

私の場合、ワインスティーンとは仕事上でちょっと顔を合わせた程度だが、それでも彼が歩行器につかまってよろよろと出廷したときには一抹の哀れみを感じた。刑を軽くするための見え透いた小芝居だと言う人もいたが、たとえそうだとしてもムチ打つ気にはなれなかった。

いずれにせよ、サバイバーの反応にはさまざまな感情が入り交じる。自分でも予想外の感情が込み上げることだってあるし、反応は人それぞれ。他者が善し悪しを判断できるようなものではない。

それなのに一つのパターンに押し込んで、「これが性暴力の被害者の思いですよ」と主張する人があまりに多い。メディアが相変わらず男性支配だから? いや、私の経験では女性のインタビュアーも例外ではなかった。

女性が脚本を書き、女性が演出するドラマでさえ、レイプ被害者が復讐を遂げるファンタジーに仕立てられてしまう。いい例がアカデミー賞脚本賞を獲得した映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』だ。

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