最新記事

東京五輪

バッハ会長の頭には「チャイニーズ・ピープル」しかない

2021年7月13日(火)21時50分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

東京大会開催と習近平の利害の因果関係

1.仮に東京大会が開催されなかったとしよう。開催されない理由は「コロナ感染が収束していないから」以外の何物でもない。

2.コロナで開催できなかったのだとすると、その責任と非難の矛先はコロナ感染の発祥地である中国に向く。何といっても習近平はWHOのテドロスと組んで、パンデミック宣言を遅らせた確信犯だからだ。あのときいち早くコロナの「人-人」感染を認め、パンデミック宣言をしていれば、武漢から外部への人流を抑えることができたはずだから、コロナはここまで全世界に広がらなかったかもしれない。となると、全人類は団結して習近平を非難することになるだろう。習近平として、それだけは避けたい。

3.また、東京大会が開催されなかったとなると、日本はアメリカに同調して「北京冬季大会ボイコット」を叫び始めるかもしれない。習近平としては国家と一党支配体制の威信にかけて、それだけは絶対に避けたい。2022年は、何といっても第20回党大会がある年で、習近平はここで中共中央総書記のポストを続投することを決定しなければならないのだから。

4.そこで仲の良いテドロスに呼び掛けて「コロナ感染の程度は、東京大会を開催するのに差し支えない」というメッセージを出してもらう。バッハは「WHOが阻止していないので、東京大会を開催しても構わない」と言うことが可能になる。

5.習近平はバッハとも「仲が良い」ので、「東京大会を成功させよう」と呼びかけることができる。

6.結果、習近平は「東京大会開催賛成!」と意思表示をする、という論理だ。

おおむね以上が「習近平が東京大会開催を支持する理由」であり因果関係である。

当然、莫大なチャイナ・マネーが、さまざまな形を取って、「仲の良い二人」に流れていることは言を俟たない。

日本人は習近平が成功するために犠牲になり、日本政府は一党支配体制維持のために貢献している

この構図と因果関係を理解することができれば、日本人の多くは「コロナ下での東京大会開催」に反対したはずだ。

それなのに、それを直視してくれる日本人は多くはなかった。

かつて天安門事件後の対中経済封鎖を、強引に解除させたのは日本であることは、もう繰り返すまでもないだろう。

あのときは中国共産党による一党支配体制を崩壊させることができる唯一のチャンスだった。だというのに、日本は「中国を孤立させてはならない」として中国に「温かな手」を差し伸べ、こんにちのような巨大な力を持つ中国を「一生懸命に」育ててきた。

ニュース速報

ビジネス

米ウーバー、第3四半期に黒字化達成も 配車事業回復

ビジネス

米経常赤字、第2四半期0.5%増 14年ぶり高水準

ビジネス

三菱UFJが傘下の米銀80億ドルで売却、USバンコ

ビジネス

BofA、今後3年間の中国の経済成長率予測を下方修

MAGAZINE

特集:歴史で読み解く台湾情勢

2021年9月21日号(9/14発売)

「世界一危険な場所」台湾の地域情勢を歴史・文化・軍事・技術から解き明かす

人気ランキング

  • 1

    「携帯キャリアと正反対」 ネットフリックスが幽霊会員を退会させる狙いとは?

  • 2

    米GMと韓国LG、相次ぐEVバッテリー発火事故で「仮面夫婦」の声

  • 3

    家族を優しく守ってくれる「吠えない」大型犬

  • 4

    ハリケーン被害:洪水で流れてきたワニに庭で食われる

  • 5

    4000回の腕立て伏せを毎日、1年間続けた男...何を目…

  • 6

    ホラー映画や性犯罪で「犠牲者」になる女の子の気持…

  • 7

    ヒトの血や尿と火星のレゴリスからコンクリートのよ…

  • 8

    「最も高度な政治ゲーム」自民党総裁選のカギを握る…

  • 9

    「ワクチン反対」の投稿をきっぱりやめ、自身も接種…

  • 10

    全米第4の大都市ヒューストンが「野生の王国」に?

  • 1

    「携帯キャリアと正反対」 ネットフリックスが幽霊会員を退会させる狙いとは?

  • 2

    家族を優しく守ってくれる「吠えない」大型犬

  • 3

    7年前にソーラーパネル設置を断念した僕の後悔

  • 4

    27歳で早期リタイアできるだけの資産を形成した私の…

  • 5

    【9.11】20年目の「新事実」テロ実行犯の2人は愛し合…

  • 6

    4000回の腕立て伏せを毎日、1年間続けた男...何を目…

  • 7

    ハリケーン被害:洪水で流れてきたワニに庭で食われる

  • 8

    国石「ヒスイ」が生まれる東西日本の境界を歩く

  • 9

    「ただ話を聞いてくれるだけ」の存在が、脳の老化を…

  • 10

    失敗学の研究者が見た、日本人の「ゼロリスク」信奉

  • 1

    「レオ様」激似の顔を持つ男...その数奇な運命と、たどり着いた境地

  • 2

    中国の衛星が3月に軌道上で突然分解......その理由がようやくわかった

  • 3

    来日25年のフランス人が気付いた、日本の「あり得ない」裏の顔

  • 4

    小さな子供がいる家庭にぴったり! 「優しい」性格が…

  • 5

    失敗学の研究者が見た、日本人の「ゼロリスク」信奉

  • 6

    タリバンがブラックホークを操縦する異常事態、しか…

  • 7

    エヴァンゲリオン、美しく静かなラスト...ファンもこ…

  • 8

    無人島にたどり着いた日本人たちがたらふく味わった「…

  • 9

    動画サイトの視聴で広がる集団疾患、世界の若年層で…

  • 10

    インド、新たな変異株「デルタプラス」確認 感染力さ…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メンバーシップ登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

STORIES ARCHIVE

  • 2021年9月
  • 2021年8月
  • 2021年7月
  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月