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サッカーを食べ、サッカーを飲み、サッカーと寝る国より

古庄亨|ブラジル

サッカー王国に訪れている変化の兆し

◉上昇気流のブラジルサッカー

南米サッカー界において2021年シーズンのブラジル勢の調子がすこぶる良い。

①ブラジル代表

ワールドカップ2022カタール大会南米予選に参戦中。

未消化5試合を残しながら、2位アルゼンチンに勝ち点差6をつけ、断トツの成績で首位突破を決めた。

現段階での成績は13試合で11勝2分負けなしと文句無しの成績である。

キャラの強いスター軍団を上手くチチ監督がまとめており、来年のカタール大会は本当に楽しみである。

スクリーンショット 2021-11-23 21.13.02.png

https://ge.globo.com/futebol/copa-do-mundo/eliminatorias-america-do-sul/

②コパ・リベルタドーレス

FIFAクラブワールドカップの出場権をかけ、南米各国の国内リーグ上位チームやカップ戦チャンピオンクラブが参戦し、南米チャンピオンを決める大会。

決勝戦は、11月27日(土)に行われる予定で、会場は改装されたばかりのウルグアイサッカーの聖地『センテナリオ』

対戦カードはパルメイラス(サンパウロ州)vs フラメンゴ(リオデジャネイロ州)というブラジル勢同士の対決となっている。

③コパ・スダメリカーナ

南米各国リーグ中位のチームや同時期に開催されるコパ・リベルタドーレスの早期敗退チームが参戦する。

優勝チームは翌年のコパ・リベルタドーレスへの出場権が得られる。

また、日本のJリーグ杯優勝チームと対戦する国際大会(旧スルガバンク杯)にも招待される。

こちらの決勝も、アトレティコ・パラナエンセ(パラナ州)vs レッドブル・ブラガンチーノ(サンパウロ州)

とブラジル勢同士の対決であった。

すでに決勝は終了(11月20日)し、アトレティコ・パラナエンセが優勝した。

これら2大会のファイナリスト4チームだけでなく、南米の主要大会で上位進出するチームをブラジル勢が独占している。

2021年シーズン、セレソン、各クラブ共に結果という面で見ると絶好調である。

◉破竹の快進撃、レッドブル・ブラガンチーノ

南野拓実(現リヴァプール)や宮本恒靖(元日本代表)が所属し、日本人にも馴染みのあるレッドブルグループ傘下のチームである、レッドブル・ザルツブルク。

ヨーロッパには他にもライプツィヒがあり、海外を見るとニューヨーク・レッドブルズなどもある。

そんなレッドブルグループ傘下のチームが実はブラジルにもある。

前述のコパ・スダメリカーナで決勝まで進んだ『レッドブル・ブラガンチーノ』である。

元々あった各国のクラブチームをレッドブルが買収し、強豪クラブへと押し上げていく。

他国のレッドブルグループのチームが歩んだ歴史をブラガンチーノも歩もうとしている。

2019年にレッドブルがブラガンサ・パウリスタ(サンパウロ州)というチームを買収してから成績はうなぎ登り。

2018年にセリエC(ブラジル3部)だったチームが、

2019年にセリエB(同2部)で優勝し、国内の強豪ひしめくセリエA(同1部)に昇格。

昇格してもすぐに降格していくチームが多い中、2020年は全20チーム中10位と危なげなく残留を確定。

残留を果たしただけでなく、コパ・スダメリカーナへの出場権も獲得。

そして、今年2021年シーズンは一時は首位に立つなど大躍進している。

現在は6位まで順位を下げているが、ストレートでリベルタドーレス出場権を獲得できる4位以内へは僅か勝ち点1である。

十分に射程圏内にいる上に、仮に6位で終わったとしてもリベルタドーレス予選へ出る権利を手にする事ができるのだ。

更に今シーズンは、国内リーグ以外に参戦していた前述のコパ・スダメリカーナで決勝まで勝ち進んだ。

残念ながら決勝ではパラナエンセに敗れてしまったが、3年前にブラジルのセリエC(3部)にいたと考えれば、チーム強化は大成功である。

ブラジ代表や年代別代表に選出される選手も増えてきており、サンパウロのビッグ4(サンパウロ 、パルメイラス、コリンチャンス、サントス)以外にも注目するチームが出現した。

◉名門の復活なるか、クルゼイロ

アラブの投資家が、ブラジルの名門チームを買収?

https://www.metropoles.com/esportes/vereador-que-foi-com-bolsonaro-a-dubai-vende-cruzeiro-para-arabe

一方話は変わって、こちらは名門チームのお話。

南半球で一番有名な星、南十字星をエンブレムに持つ、ミナスジェライス州の人気チーム『クルゼイロ』

南米チャンピオンにも二度輝いた事のある名門チームではあるが、現在は2部リーグに所属。

更に、2部でも13位と自力昇格からは程遠い位置にいるのだ。

同じ州のライバルチームでもある、『アトレティコ・ミネイロ』が常に1部の上位に君臨しており、差が開く一方である。

そんなクラブであるが、俄然注目を浴びる事になった。

10月にブラジルのボルソナロ大統領がアラブ外遊を行った際、サウジアラビアにて、地元投資家からブラジルのクラブへの投資、もしくは買収を考えているという話が出たと発表されたのである。

サウジの投資家といえば、直近でプレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッドを買収したばかりである。

ヨーロッパの有名クラブの資産を一気に抜き、世界一資産のあるクラブへと踊りでた。

そんな投資家がブラジルのクラブに目を向けているという事で、サポーターからは既に歓喜の声が上がっている。

名門復活となれば、こちらも面白い話である。

ただ、ブラジル国内リーグでの海外からの投資や買収が正式に確定した話はあまり聞かない。

財務体制(特に管理面)がずさんなクラブも多く、多額な借金を抱えている場合もある。

その借金分の肩代わりや、過去の財務諸表の確認ができない為、買収話が出ても立ち消えになる事も少なくない。

成功例は皆無でレッドブル・ブラガンチーノ(旧ブラガンサ・パウリスタ)が初めてであろう。

今回クルゼイロが正式な話へと発展する事になれば...。

アラブの投資家は2チームに興味を持っているという話も出ており、他にも興味を持ってるクラブがある様なので、今後注目していきたいニュースである。

◉夢物語を現実へ

サッカーファンとして、ブラジル国内に強くて面白いクラブが増える事は大歓迎である。

これまで財政問題で規約上降格、またチーム力が落ちて昇格できなくなり下位カテゴリーに甘んじているクラブも多い。

それに加えて、国内リーグの上位進出チームの顔ぶれは毎年それほど変わらない。

ブラジルサッカーの国内での人気が停滞している感もある。

そういった状況の中、レッドブル・ブラガンチーノやその他の新興勢力や旧古豪、旧名門チームが出てくる事で、リーグの活性化に繋がるだろう。

個人的には、国内リーグがもっと盛り上がり、南米内でも結果を出し続ける。

そして最終的には南米チャンピオンとして、再び欧州勢を凌駕する様な時代がきて欲しい。

ここブラジルにはタレントは揃っている。ポテンシャルもある。欧州以上の熱いサポーターもいる。

足りないピースは資金力。

そのピースを埋める事ができ、結果を出していく事で、名実ともに『サッカー王国』として再君臨して貰いたいものである。

更には、日本人としては是非日本のチームや企業にも頑張って貰い、「鹿島アントラーズ・サンパウロ」や「京都サンガ・サンパウロ」の様なチームがここサンパウロにでき、我々日本人や日本にルーツを持つ人々が応援できる、心の拠り所となり、皆が一つになれる様なチームができる事を切に望んでいる。

<了>

 

Profile

著者プロフィール
古庄亨

ブラジル・サンパウロ在住。日本・ブラジル・タイの3ヶ国で、2010年までフットサル選手としてプレー。2011年より5年間、都内スポーツマネージメント会社勤務。2016年ブラジルに渡り翌年現地にて起業。サッカーを中心にスポーツ・教育関連事業で活動中。

Webサイト: アレグリアスポーツアカデミー・サンパウロ

Twitter: @toru_furusho

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