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日本人コーヒー生産者が語るコロンビア

松尾彩香|コロンビア

効果あり?ロックダウン全面解除から1ヶ月経ったコロンビア

筆者撮影

東京都では4度目の緊急事態宣言と蔓延防止等重点措置の延長が発表され、飲食・観光業をはじめ様々な人に影響が出ていると思います。

一方コロンビアでは、政府がコロナウイルスの感染拡大よりも経済と雇用の回復を優先させることを決めロックダウンを解除してから一ヶ月が経ちました。大規模なイベントもマスクなどの基本的な対策は徹底しながら通常通り行われ、街はパンデミック以前とほぼ変わらない日常を取り戻しつつあります。

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6月末に開催されたイベント。久しぶりの人混みを体験しました。(筆者撮影)

 

経済効果

パンデミックが始まって以来、長く続いた夜間・週末の外出禁止令と禁酒令の影響で特に深刻な打撃を受けたのは酒販業界でした。

第二の都市メデジンが位置するアンティオキア県で通常45,000もの雇用を生み出していたこの業界は、これらの外出禁止令の影響をもろに受けた上に政府からの救済プログラムの対象にならなかったことから、パンデミックの間にその雇用のうちの95%もが失われたと言われています。

同県の酒販組合のフアン・バレンスエラ代表はこの経済回復が業界に与える影響について次のように語りました。

「この経済活性化によって飲み屋や酒屋など約3,000の店舗で15,000の雇用が見込まれる可能性があります。更に売上高は各週末80億ペソ(約200万ドル)近くにのぼっています。」

 

コロンビアの有名なリゾート観光地であるサンタマルタでは、既に経済は90%回復しているとの報道がありました。7月初週の3連休では約4万人の観光客がサンタマルタを訪れ、ホテルの満員率は81%に上り、それは2019年のイースターの連休時以来の混雑ぶりだったようです。

経済活性化を発表した日から今日までの約1ヶ月間で、コロンビアでは2回の3連休があっただけでなく、父の日や夏休み、コパアメリカと祝日やイベントが重なったことがこの経済回復の背中を押す形になったのではないかと思います。

 

感染状況

コロンビアの経済はゆっくりではありながら回復傾向にあるようですが、では感染状況はどうなっているのでしょうか。

ボゴタやメデジンなどの大きな都市がロックダウンを解除することを発表してから2週間が経った頃、コロンビアでの1日の新規感染者数が過去最高の3万人を超え、1日の死者数が700人近くにものぼる日が続きました。

これを受けて健康省のフェルナンド・ルイス大臣が感染拡大が著しい13都市に対して再度ロックダウンを行うよう要請を出しましたが、各市長は経済優先の姿勢を崩さず、7月初週の3連休で大人数が集まるようなイベント事は避けるようにとの「お願いベース」の自粛要請を行うだけにとどまりました。

現在は新規感染者数は少しずつではありますが減少傾向にあります。

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©️Our World in Data(https://ourworldindata.org/coronavirus/country/colombia)

 

コロナワクチン接種状況

コロンビアでは今40歳以上の人を対象としたワクチン接種が始まっています。しかしワクチン接種完了している人は依然として人口の約16%程度にとどまり、集団免疫獲得にはかなりの時間を要することが予想されます。経済の活性化に合わせてワクチン接種のスピードを上げてきている一方で、各都市で供給の遅れを指摘する声も度々聞こえており、ワクチン接種状況は未だ不安定と言えるでしょう。

そんな中、7月1日にアメリカから250万回分のワクチン(ヤンセン)の寄付を受けることができ、更に先日バイデン大統領から追加で300万回分のワクチンの追加寄付が発表されました。これを受け、外交官でもあるマルタ・ルシア・ラミレス副大統領はツイッターに「我が国のワクチン接種スピードの加速と、経済回復のためのワクチン追加寄付の決定について、バイデン大統領に感謝申し上げます。」と投稿しました。

 

経済回復の鍵は観光業

麻薬や武装組織が原因の長い内戦を乗り越えたコロンビアでは、近年観光産業が著しい伸びを見せてきました。コロンビアを訪れる外国人観光客の数は2006年から2019年の間で300%も増加し、それが経済や雇用に大きな影響を与えていたのです。しかしパンデミックの影響でコロンビアの観光業は大きな打撃を受け、観光地では失業と貧困が深刻化しまったのです。

今回のロックダウン解除によって国内旅行を楽しむコロンビア人の数は確実に増えてきていますが、やはりアメリカやヨーロッパのような先進国からの観光客を増やすことが本格的な景気回復には不可欠になるでしょう。

 

先日、今年11月に公開となるディズニーの新作アニメーション『Encanto』の予告が公開されました。

今回のアニメーションの舞台はコロンビア。2017年に『リメンバーミー』が公開された時に舞台となったメキシコのオアハカが注目を集めたように、『Encanto』の影響でコロンビアの観光業が活気づくことが期待されています。

 

デルタ株に警戒

一見、先が明るいように見えるコロンビアですが、実はコロンビアではまだデルタ株が確認されていません。

しかし近隣国では既にデルタ株が確認され始めてきていますし出入国制限も緩めてしまっているため、近いうちにコロンビアでデルタ株が確認されることは避けられないでしょうし、もしくは既に入ってきているという可能性も否定できません。

長く続いたロックダウンから解放され、もうコロナウイルスは存在していないかのようにのびのび振る舞っている人も多く見かけますが、コロンビア政府はこのデルタ株の蔓延に備え、ワクチン接種のスピードを更に加速させると同時に、国民に対して対象者はなるべく早くワクチンの接種を行うように呼びかけています。

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。

ブログ: http://campesinita.com

Twitter: @maon_maon_maon

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