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オーストラリアの診察室から

高尾康端|オーストラリア

オーストラリア新型コロナワクチンプログラムの行方

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日本ではロックダウンの中、コロナウィルスワクチン接種の遅れが問題になっています。 現在、オーストラリアでは市中感染はほぼ抑えているもののワクチンの接種においては日本と同じくかなり遅れており同じ問題を抱えています。

オーストラリアでは、当初3月末までに400万回のワクチン接種を目標としていましたが、現在までに193万回のワクチン接種を完了したのが実情です。日本は約322万回です(4月28日現在) 。

オーストラリアはファイザー社製とアストラゼネカ社製のワクチンを使用する計画でした。さらに国内でアストラゼネカ社製のワクチンを生産する契約も結んでいました。しかしアストロゼネカ社製のワクチンはヨーロッパで血栓の副反応の例があり、使用を制限する国がでてきました。オーストラリアでも50歳以下で血栓が発症した患者がいたため、4月8日にオーストラリア政府が50歳以下の人には基本的にファイザー社製のワクチンを接種するべきとの発表をしました。しかしながら、50歳以下の方へのアストロゼネカ社製のワクチン接種は禁止ではなく、医師と相談の上、リスクとベネフィットのバランスを考慮し希望者は接種してもいいとも政府は言っています。しかし実際には50歳以下の人には基本的にアストラゼネカ社製は接種しない方針の医療クリニックも多いようです。

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(画像: da-kuk-ISTOCKS)

現在50歳以下で新型コロナウイルスのワクチンの接種を受けるのは医療関係者が主です。オーストラリア政府の発表により、50歳以下の医療関係者はファイザー社製ワクチンを受けることになりましたが、そのワクチンは現状不足しています。オーストラリア政府は当初2000万本分のファイザー社製ワクチンの契約をしていましたが、アストロゼネカ社製ワクチンの接種年齢を変更したことにより、さらに2000万本のファイザー社製のワクチンを獲得すると発表しました。しかし、年末まで入手できない可能性があり、当初目標としていた今年中に全国民に接種するのは不可能であると発表しました。

オーストラリアでは現在市中感染は、ほぼ抑え込んでいますが、いつまた市中感染のクラスターがおきるかはわかりません。そして1人の市中感染者がでれば、すぐにロックダウンとなり、州境は封鎖されます。南半球はこれから冬なので、コロナワクチンの供給が急がれます。






参考
https://www.health.gov.au/resources/publications/total-number-of-people-vaccinated-for-covid-19-in-australia-14-april-2021
https://www.theguardian.com/australia-news/datablog/ng-interactive/2021/apr/06/covid-vaccine-tracker-australia-distribution-rollout-progress-schedule-coronavirus-jab-news
https://www.abc.net.au/news/2021-04-09/national-cabinet-astrazeneca-covid-vaccine-clots-rollout/100058440
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-vaccine-status/
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html

 

Profile

著者プロフィール
高尾康端

日本、スイス、シンガポール、アメリカで育ち、2004年からオーストラリアに移住。シドニー大学医学部を卒業。現在は東ブリスベンエリアHawthorne Clinicにて家庭医 (GP)として勤務。家庭医の観点からみる病気についての情報、また母国である日本と移住地オーストラリアの医療システムの違いや、オーストラリアで病気になった時に役立つ情報を発信している。

Twitter:@dryasutakao
Facebook:Dr Yasu Takao
ブログ:https://www.dryasutakao.com.au/blog

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