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イタリア事情斜め読み

ヴィズマーラ恵子|イタリア

空港カオス状態で欧州グリーンパスは大失敗か、EU人は入国お断りのアメリカが国境封鎖を続けるワケ

iStock- Fritz Jorgensen:旅行者は、COVID19ワクチン接種状況を示すワクチンパスポート証明書を保持。 コロナウイルスのパンデミック時の海外旅行には、デジタル健康証明書が必要。

| 欧州グリーンパスが7月1日からいよいよ始動

イタリアからEUへの旅行
現在の疫学データに基づくと、イタリアはヨーロッパの地図の緑の領域に含まれているという。
これはReOpenEuで調べることができる。
「Eu Digital Covid Certificate」を所持していれば、イタリアから27のEU加盟国に自由に移動できることを意味する。
この文書は、実際、連合国内でのPCRテストや検疫(隔離期間)の対象となることを回避するというものである。

| ヨーロッパ人側から見るEU圏外への旅行の場合

6月18日の時点で、旅行制限を解除する第三国に該当する国々のリストが、欧州委員会によって改訂された。改正版リストに載っている国々は、以下の通り

アルバニア、オーストラリア、イスラエル、日本、レバノン、ニュージーランド、北マケドニア共和国、ルワンダ、セルビア、シンガポール、韓国、タイ、アメリカ合衆国。

中国、相互の確認が必要。
※台湾からの入国制限は徐々に撤廃されるべきであり、中国香港とマカオの特別行政区についても、入国の制限を解除する必要がある。最終決定は明らかに加盟国次第である。

| 英国とポルトガルへの旅行


デルタ株の影響を強く受けた国(英国とポルトガル)からの入国とそれらの国へ旅行に行く人々の流れに関する議論も上がっているという。
新型コロナウイルス感染症のデルタ変異株が拡散している英国からの入国者たちに、再び隔離義務5日間を課すと決定したイタリア。
そして、ドイツにいたっては、英国とポルトガルからドイツへ入ろうとする人々の入国を完全に禁止するという決定を出したが、EU本部ブリュッセルによって受け入れられなかった。
ドイツは、EU規制によって規定された入国を禁止する緊急水際対策『緊急ブレーキ』という条項があったじゃないか、それをしてはいけないという判断は不適切だと訴えた。
EU委員会は、「加盟国は、検疫などの厳格な措置を採用し、推奨されるアプローチに従うべきであるが、入国(旅行)禁止は回避すべきである」と想起した。
実際には、旅行制限緩和の措置に法的拘束力はなく、実施は加盟国の判断に委ねられている。

| 日本からイタリアに入国する場合

イタリア保健省命令が官報に掲載した水際措置が規定されており、保健省命令は6月21日から7月30日まで効力を有するものをイタリア政府の措置としている。
内容を見てみよう。

以下、a)、b)、c)の内容を示す証明書のうちいずれか一つ。
a) 欧州医薬品庁(EMA)が認めた新型コロナウイルスワクチン(ファイザー製、モデルナ製、アストラゼネカ製、ジョンソン・エンド・ジョンソン製)を接種し、規定の回数のワクチン接種完了から少なくとも14日以上が経過したこと。
b) 新型コロナウイルス感染症から治癒し、感染に伴い指示された隔離を終了したこと。
c) イタリア入国前48時間以内に抗原検査又は分子検査(PCR検査)を実施し、結果が陰性であったこと。
- Covid-19グリーン証明書に記載されているべき事項や言語。
- EU加盟国又は第三国で発行されたCovid-19グリーン証明書の有効性。
- カナダ、日本及び米国からのイタリア入国に係る措置(カナダ、日本及び米国については、各国保健当局により発行されたCovid-19グリーン証明書を所持していることを条件にイタリア入国が認められる。

(注:基本的には、自己隔離不要。

ただし、イタリア入国の際の経由地によっては、自己隔離が必要。
例:英国経由の場合(本命令第5条)。

また、グリーン証明書を持たない人は、5月14日保健省命令により、3月2日首相令別添20リストDの国と地域に適用される措置が義務となる
(イタリア入国前72時間以内に実施したスワブ検体による検査の陰性証明、自己隔離、自己隔離後の再検査)。
- インド、バングラデシュ及びスリランカからの移動に係る制限措置の延長。
- 英国からのイタリア入国時の防疫措置強化(例:5日間の自己隔離と隔離終了時の分子検査)。

※イタリア保健省命令の詳細については、以下リンク先の在イタリア日本国大使館作成の抄訳や本命令原文をご確認。
(抄訳)https://www.it.emb-japan.go.jp/itpr_ja/covid_19_20210618OMS.html
(原文)https://www.gazzettaufficiale.it/atto/serie_generale/caricaDettaglioAtto/originario?atto.dataPubblicazioneGazzetta=2021-06-19&atto.codiceRedazionale=21A03771&elenco30giorni=false

| グリーンパスで空港がカオス、混乱中。大失敗か?

7月1日からグリーンパスが開始された。その実態は、空港でのチェックイン時間が500%増加したという。
空港は到着客の待ち行列と混乱でカオス状態だという報道がイタリアではされている。
航空会社によると、EU諸国では少なくとも10の異なる手順があって、統一されていない。
乗客は途中降機させられるなど、平均1時間半以上は時間を無駄に失っているという。

PCR検査での陰性結果のQRコードが受け入れられないと見なされるケースが発生している。
ある乗客のグループに要求された陰性証明のQRコードの提出は要求されたのに、同じフライトに搭乗していた他の人には要求しなかったなど、客によって対応がまばらで何がなんだかわからないという。
ローカリゼーションフォーム(乗客ロケーターフォーム)は、Web経由で入力される。
国によっては、紙(用紙での発行)のみのところもある。
ヨーロッパ人にとっての夏のバカンスは、何よりの楽しみで生き甲斐にしている人が多い。
夏のバカンスのために1年間一生懸命働き、貯金をし、自国の夏の気温より少しでも涼しい避暑地や行楽地を目指して旅行をする。そこでストレスや日頃の鬱憤を発散して一気に散財する。
バカンスでリフレッシュをしてから、秋に仕事を開始し、また来年の夏のバカンスのために頑張ろうとモチベーションを上げていくというのが、ヨーロッパ人のルーティーンであると感じる。
月刊誌ObservatoryがSwgと共同で収集したデータによると、イタリア人の2人に1人(正確には50.1%)は、6月から9月までの月に休暇を取るつもりで、インタビューを受けたイタリア人の41%がすでに6月上旬に休暇を予約したと言う。
イタリア人の3分の1が居住地域を選択し、63.6%が別の地域へ出ることを選択している。休暇の合計期間が14日を超えない期間で、6.2%のみが海外旅行に出かけるそうだ。
イタリア人の34%はホテルや休暇施設に行き、32.4%は自分の別荘に行き、26.3%は宿泊施設を借りると、2021年夏のデータ結果を発表している。

そんなヨーロッパ人が夏のバカンスをに気楽に旅行できないとなると、耐え難い苦痛であり、ストレス以外の何ものでもない。
国によってさまざまな入国時要件があり、行楽客らは、既にチェックインカウンターで何時間も待ち行列に並ばなければいけないリスクがあることは確実であるというから、何がなんでもバカンス前にこのグリーンパス問題を解決しておいて欲しいところではある。

航空会社や空港を代表する国際機関は、欧州連合の27の加盟国の中で、同じデジタルCOVID-EU証明書を検証する為の方法が国によって異なる。

それが少なくとも10もあるとして非難し、こんなパスはまったく観光シーズンの離陸に役立たないと言っている。
空港で何十万人もの人々が密を作りそこに群がっている感じになっている現状が既にあるという。

その結果はすでに明らかで、チェックインのためだけに必要な時間が、現在500%増加している。
国際航空運送協会の第1位であるウィリーウォルシュによると、
「実に、1人あたり12分程度に跳ね上がっている計算になる。現在の交通量では、まだコロナ禍以前の交通量からはほど遠く、乗客は空港で平均して1時間半以上の時間を失う。これは通常の2倍の無駄な時間である。」との報告があった。

国際航空運送協会(IATA)の見積もりによると、フローが2019年のレベルの75%に戻った場合、ターミナルに入ってから搭乗するまでに必要な時間は6時間に達する可能性があるという。
2019年時と同等の利用者数に100%戻った場合では、チェックインカウンターや国境管理で必要な健康診断が加わり、ターミナルに入ってから搭乗するまでに必要な時間は8時間に達する。

このため、ヨーロッパ航空、国際空港評議会、ヨーロッパ地域の航空協会、国際航空運送協会は、旧大陸の国家元首と政府に4ページの手紙を書き、調整の欠如とさまざまなアプローチを嘆いている。
今後数週間で旅客数が増加するため、ヨーロッパの空港で混乱が生じるリスクは現実のものとなると国際航空運送協会(IATA)は警告している。

理論的には、7月1日から携帯電話のQRコード(ワクチン2回接種済みまたは PCR検査の陰性結果またはCovidの治癒後に発行されたもの)は、EU内を自由に移動するのに十分である。しかし、このデジタル認証はまだすべての国で認められているわけではない。
場合によっては、国境やチェックイン時にもチェックできない。
これは、イタリアのいくつかの空港でも読み取りデバイスがないか、テスト結果を印刷する必要があったという初歩的な欠陥であり見切り発車のイタリアならではのいつもの"あるある"事例だ。

その後、他の問題もさらに出てきた。

イタリアはデジタル形式でそれを提供する唯一の国であるが、他の国では機内の係員に(フランスへの乗り継ぎの場合など)飛行中に表示するか、チェックイン時に表示する用として、一枚の用紙を提供しなければならない。そもそもQRコードのデジタル版は必要なく全く通用しないし使えない。

このため、協会は検証プロセスの最大のデジタル化と不便さを最小限に抑えることを求めている。

ちなみに、夏のバカンスには出かけず、居住地の市町村を離れる予定がないと答えたイタリア人の49.9%のその理由は、
経済的な問題、貯蓄不足(回答の32.7%)、 コロナウイルスに関連する心配と恐怖から(15%)、健康上の理由(12.8%)であると言う。
筆者も夏はどこか海外や避暑地など、バカンスに出かける予定はない。
Eコマースでビジネス展開をしている事業主であり、日本茶や抹茶の売れ行きは夏の休暇中でも好調である。毎日ありがたくいただくオーダーに迅速に対応し、商品をお客様へ発送しお手元へ日本茶をお届けする義務があるので、どこにも出かけられないといった感じである。ゴーストタウン化するイタリアの夏でも、ひたすら商売繁盛を祈念し働く事を選択した。

| アメリカは欧州人と英国人へは国境を閉鎖のまま、なぜ?

欧州連合は、ワクチン接種を受けている人に限り、アメリカ人のEU圏内の入国を受け入れている。
しかし、米国政府はその逆で、永住許可証であるグリーンカードやアメリカのパスポートを持っていないすべてのヨーロッパ人とイギリス人へは、国境は閉鎖したままである。
イタリア、フランス、ドイツ、スペインの在米国大使館には、何週間も抗議が殺到しているという。

米国で活動している企業は、すでに通常のビザを取得している場合でも、技術者から管理者、米国に従業員を送ることができなくなってしまったという問題が発生している。
同じことが、研究者、教授、学生らにも起こっており、観光客にいたっては、いかなる場合でも厳しく除外されているという状態なのである。
また同時に、米国で暮らし働いてきたヨーロッパ人は、出身国に帰国することは確実にできるが、一旦帰国したその後、彼らが米国に戻ることができるという保証はまったくないという問題。
何千人もの人々がブロックされ、何千もの企業が被害を受けたという。

国境封鎖は、パンデミックの開始時に、2020年1月31日にドナルド・トランプ元大統領によって署名された法令から15ヶ月間続いた。
それは、ジョー・バイデン政権によって取り消されることのなかった措置でもある。
これらの規則には、米国大使館と領事館が緊急にアメリカに戻る必要がある人々のために特別な許可を与えるという特別規定があり、アメリカに国益を与えることができると期待できる人である事が規定してある。
しかし、当局は国務省から直接、個々の事件を非常に厳密に精査するように指示された。

それは今や政治的、外交的な問題である。

何ヶ月もの間、ヨーロッパ人が米国の対応者とこの問題を提起していない会議はなかった。ウォールストリートジャーナルも最近これに注目し、「相互主義の欠如」がEU、英国、米国間の経済関係をどのように妨げているかを指摘していた。
18か月前とは完全に異なっているにもかかわらず、なぜアメリカは国を閉鎖したままなのだろうか。
6月25日、パリでの記者会見で、国務長官のアントニー・ブリンケンはこの問題に対し、「私たちは、いつから国境を再開するか、日付を示すことができません。科学の指示に従わなければなりません。」と述べるにとどまった。

昨年の6月15日にブリュッセルで開催された米EU首脳会談後、技術委員会を設置することが決定され、状況は改善しているように見えた。

米国のアンソニー・ファウチ医師(アメリカ国立アレルギー・感染症研究所 (NIAID) 所長)が率いる反コビッドチームは、国境の再開には注意が必要であると、2つの問題点を理由にあげている。

まず、第一に、
多くのヨーロッパ人は、米国連邦当局である食品医薬品局 (FDA)によって承認されていない血清であるアストラゼネカのワクチン接種を受けてる点。

第二に、
現在、すべてのヨーロッパの国々がワクチン接種を受けた人の正確な数を把握しているわけではない。いくつかの国では登録を保証できているという確信もない。(※そして確実にイタリアもそれらの国の中の一つである)
そしてもちろん、米国はヨーロッパの現実とその他の国(英国)の現実を区別することはできない。

この2つの観点から、米国の国境は閉鎖したままの方が良いと勧めている。

これらは、官僚的な努力とより政治的なアプローチで克服できる異議であると思える。
アストラゼネカの事例については、特にアメリカにもっとアプローチをすべきところである。
結局のところ、アストラゼネカ社は米国で長い間生産をしていたにもかかわらず、FDAの認可を取得するための正式な申請書をまだ提出していないという。
もちろん、欧州連合はこのアストラゼネカ社製のワクチンの有効性に責任を負っているし安全性についても保証している。
米国政府は、欧州医薬品庁(EMA)、欧州当局、および米国食品医薬品局(FDA)の間で緊密な協力と相互信頼の関係があるのだから、アストラゼネカのワクチンを接種して免疫抗体がある人々の入国を受け入れるべきであるし、国境を再開するなど緩和した方がアメリカの国益になるのではないかと思うが。。。

 

Profile

著者プロフィール
ヴィズマーラ恵子

イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie

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