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日々のSDGsと多様性 - ポートランド・コーディネーター手帳

山本彌生|アメリカ

ポートランド、自分らしい仕事と愛のかたち。生きかた働きかた

年明けの『アジアンヘイト』抗議行進のために、LGBTQの友人ともに作ったプラカード。『暴力は、もううんざり!』『愛は団結を生み、憎しみは分断を生む』。ありのままの自分でいられるLGBTQの大切な友人と、時を忘れて語り合う。Photo | JingWei Pan

| 自分自身とその人生を愛せるように

一人ひとりが互いを認め合うという、「多様性と調和」を一つのコンセプトにした東京オリンピック。多くの問題を抱えながらも、先日閉幕をしました。

中でもとりわけ、海外メディアを中心に大きな注目を集めた話題があります。それは、LGBTQ(性的マイノリティー)と自ら公表している選手の増加。東京オリンピックに出場した選手のうち、182人の選手がLGBTQであることを公表しています*。

〚アウトスポーツ、At least 182 out LGBTQ athletes were at the Tokyo Summer Olympics 、2021年〛

現在では、50州すべてが同性婚を合法化しているアメリカ。ポートランドがあるオレゴン州でも、2014年に合法となりました。

西海岸の中でも、比較的物価の安いこの町。そして、どの様なセクシュアリティであっても受け入れるという柔軟性があることから、他の西海岸主要都市から引っ越しをしてくる人も年々増え続けています。

そして、もう一つの流入数増加の理由*。それは、リモートワーク型企業環境の拡大です。

このような移住者の一人が、IT業界で働く中国生まれカナダ育ちのジンウェイさん。実は数年前、「先日、近所に引っ越してきましたジンウェイです。そして彼女が、妻のフゥア。よろしくお願いします。」と、それはかわいい女性二人のカップルが挨拶に来てくれました。聞けば、大学で日本語を学んでいたとか。それ以来、同じアジア人として、『お福分け』をする仲になっていきました。

そんな彼女のストーリーを少しずつ聞くうちに、私自身が考え想像をしていた微妙なコンセプトのずれに気づきを覚えていったのです。そして自然に、現代に生きるカップルの姿や新しいコミュニティーの形へと、思考がいざなわれるようになっていきました。

現在の社会とアジア文化。彼女の生き方とキャリア。そして、愛する同性の女性との結婚から得られた心の平安。

多様という言葉が表しているように、型にはめず当てはめず。これは、あくまでもひとりの、そして一組の同性愛者の等身大のストーリ―です。

JingWei Home Office.jpeg意識をして、定期的に電子機器から離れて心を落ち着かせるという。家族同様のスプルーシュと一緒に、自宅のオフィスでのフル勤務。 Photo | JingWei Pan

| アマゾンから、中小企業のリモートワーカーへの転身

ジンウェイさんの社会人としてのスタートは、シアトルにあるアマゾン本社。有名大学の大学院でコンピューターサイエンス学んだ後、ITエンジニアとしての採用でした。

「有名大企業への就職が決まったときには、天にも昇る思いでした。でも、エントリーレベルの仕事という事もあって、巨大な機械の中で小さな歯車を動かしているような毎日。必死に働けば働くほど、仕事の範囲や学ぶことに限界を感じ始めたのです。そこで徐々に、スタートアップ的な文化を持つ企業に転職したいと考え始めました。」

その後、東海岸のボストンにある中小規模のIT企業へ転職をします。現在は、ソフトウェア・エンジニアリング部のディレクターとして勤務。海外パ―トナーとの技術的なソリューションを戦略的に実行して、開発チームを強化、牽引するのが主な仕事です。

ジンウェイさんの会社では、コロナ前には、社員の約5%がリモートワーク。そして、コロナ禍の今は、完全100%『どこでも仕事ができる』文化を構築したと話はじめてくれました。

「私たちは歴史上、環境や技術の変化に合わせて働く環境を変化させてきました。その一つが、『高い生産性が追及される目的で作られた、狭いスペースでのキュービクル・パーティション』設定です。

このパンダミック期をきっかけに、リモートワークが働く環境の一つの選択肢となっています。そして、その利点は、① オフィススペース維持の経費削減 ② 遠隔地在の本社・支社の人々をまとめる機会の増加 ③ 国内や世界各国からの雇用機会の増加など沢山あります。

これからの時代は、ライフスタイルをより健全にすること。ここに焦点が当てられた時代に突入をしています。このことから、社員がワーク・ライフ・バランスを維持するための労働選択肢が増えることは、企業として必須となっているのです。」

とは言うものの、同時に、管理の煩雑さをはじめとしたデメリットが多くあるのも事実です。しかしその部分は、それぞれの企業がビジネスのスケールを駆使して技術的な対策を構築したり。また、従業員に対する情報セキュリティ教育を行う。そんな、人と技術のバランスが取れた対策を施すことが、『基本の基』となるのでしょう。

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Photo | JingWei Pan

| 考え続けることで、自分の人生の質をあげていく

有名大学から、最先端のITの道を歩み続けてきたジンウェイさん。はたから見れば、思うさまに過ごしてきた様な道のり。しかし、自分のキャリアの方向性を見つけることは、大変苦しく難しかったと言います。

「米国のハイテク業界は、選択肢が無限です。その中で、自分の方向を見定めて進んで行くことは、大変困難であり不安が付きまといます。贅沢な悩みかもしれません。でも実際に、その道を見つけるのに、今でも悩み苦しんでいるというのが正直なところなのです。

それを打破する為に行ったこと。それは、会社の上司に積極的に声をかけて、メンター*になってくれる人を探したのです。役職を持たない立場から、現在のディレクターに移行する際には、このメンターの経験やアドバイスから大いに恩恵を受けました。」

アメリカで一般的に行われている、メンター(助言をする側)とメンティー(助言を受ける側)システム。これは、先輩後輩という関係をはるかに超えた平等な関係です。

ビジネスにおけるメンターは、仕事やキャリアの手本となって助言・指導をしたり。また、個人の成長や精神的なサポートをします。

ここ10年におけるアメリカ企業。人材育成を目的に『メンター制度』を導入するケースが良く見られます。そして多くの場合、悩みや不安も打ち明けやすいようにと、他部署など少し離れた所に属している比較的年齢の近い先輩社員が選ばれることが多いようです。

そこからの延長線上として、現在ジンウェイさんが意識していること。それは、『自分が得意なこと。そして、情熱を持ってやっていること。そこを頭で考えて区別をする』ことです。

「この2つを意識することで、仕事に対するモヤモヤやストレスが少し低減出来てきた気がします。もちろん、ここが一致するようなキャリアパスを見つけることができれば理想的ですが。でも現実は、なかなかそうは上手くいかないものですから。」はにかんだ表情で、ひと息おいてこう続けます。

「働く女性にとって、紛れもないジェンダー・ギャップがあるのが今の労働現状です。そこに加えて、テクノロジー業界というダブルハンディを抱えて働いています。

私は長年、女性エンジニアが自分一人しかいないチームで働いてきました。でも幸いなことに、チームの『資産』として認めてくれる上司や同僚に恵まれてきました。加えて、技術系やリーダー役の女性たちと繋がれたことも幸運でした。」

と、前置きをしつつも、他の部署の男性社員同士が無意識に男性を優遇する言葉を使う日常。このことによって、不快感を覚えたことは多々あったようです。そのような言葉によって、排除し枠の外に押しやる。そんな圧迫をも感じていました。

そんなマイナスの経験から、自分自身はいかなる他の人に対しても、その人の持っている素晴しい部分を認識するような言動を取る。そう、決めていると言います。

「常にプロ意識を持ち続けながら、必要に応じてチームメイトを心から気遣うこと。温かさ、繊細さ、共感をもって同僚と働くこと。それを、一人でも多くの人が行うことで、一つ一つの問題を解決していけると信じているからです。」

そんなジンウェイさんが、一生を共にすると誓う女性と出会ったのは大学のキャンパスでした。パートナーのフゥアさんが、脳神経科学の博士号取得のため留学をした時のことにさかのぼります。

同性愛者の結婚。その道のりと苦悩とは、どのようなものだったのでしょうか...

Profile

著者プロフィール
山本彌生

企画プロジェクト&視察コーディネーション会社PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社等を経てNYと東京にNPOを設立。2002年に当社起業。メディア・ビジネス・行政・学術・通訳の5分野を循環させる「独自のビジネスモデル」を構築。ビジネスを超えた "持続可能な" 関係作りに重きを置いている。日系メディア上のポートランド撮影は当社制作が多く、また業務提携先は多岐にわたる。

Facebook:Yayoi O. Yamamoto

Instagram:PDX_Coordinator

協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)

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